就労女性健康研究会 代表世話人 野原理子
2012年5月31日、第85回日本産業衛生学会の自由集会として、名古屋国際会議場にて第14回女性健康研究会が開催された。研究会のテーマは「働く女性の乳がんの治療と職業の両立支援」とし、乳がんの治療について愛知県がんセンターの赤羽先生から、リワークノートについて荒木労働衛生コンサルタント事務所の荒木先生からご発表いただいた。会場に入りきらないほどの多くの方々にご来場いただき、この領域に対する関心の深さを実感した。
赤羽先生からは、最新の統計データを基に乳癌患者数の推移からお話を始めていただき、乳癌検診については各年代での推奨グレードなどにも触れていた。
その後、病態や病状の進行、局所治療(手術療法や放射線療法)や全身治療(化学療法等)について詳細に説明していただいた。さらに、ご自身の調査結果に基づいた乳癌診療医の就労に対する意識や症例検討もお話しいただいた。
荒木先生からは、産業の場で、既に活用されている「母性健康管理指導事項連絡カード」や「こころの健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引」などを参考にして、がんの特徴を踏まえながら作成された、「Work-Life Vision with Cancer「がんと働く」リワークノート」についてご紹介いただいた。産業保健職の役割・必要な事として、がんに対する基本的な医学的知識の取得、キャンサーサバイバーのサポートに関する知識の取得、社内環境の把握、社内健康教育、ヘルスプロモーション事業との関連付け、がん検診の啓発、復職および復職後プランの策定支援、必要に応じ主治医・ソーシャルワーカーなどとの連携、社内他部署との連携、キャリア研修、管理者研修、ダイバーシティ施策、母性健康管理、ワークライフバランス、介護、高齢者や障害者雇用、健康保険組合などを挙げられ、今後ますますこの分野の研究や実践が必要であると述べられた。
なお、その他の研究会活動としては、世話人会メーリングリスト等で24年度事業・会計報告を行った。また第14回就労女性健康研究会後に世話人会を開催し、次年度以降の研究会活動について検討した。また事業報告や研究会での情報をwebサイト上に公開した。