18)就労女性健康研究会 代表世話人:野原 理子

平成27年5月14日、第88回日本産業衛生学会の自由集会として、グランフロント大阪I 会場カンファレンスルームCにて、第17回就労女性健康研究会を開催した。荒木葉子世話人が企画と司会を担当したので以下に報告する。

平成24年版「働く女性の実情」によれば、この10年間で女性の労働力率は20~30代の有配偶者、45歳以降の未婚者・有配偶者の増加が目立つ。働く女性支援として中高年女性の健康支援も重要であると考え、中高年女性医学・医療の大家である麻生武志先生にご講演をお願いした。まず、女性の健康の基礎知識として、月経の仕組み、女性ホルモンの働きについてのお話しがあった。視床下部、下垂体、卵巣の絶妙なバランスの中で月経が起こっており、そのバランスが乱れることは、女性の健康障害の重要なアラームであることを強調された。月経異常、特に無月経は摂食障害、やせ、高度なストレスなどによっておこる可能性があること、また、月経痛は子宮内膜症の可能性があり、痛みを我慢しがちな女性たちが、月経痛を放置することで、卵管閉塞などで不妊になってしまう可能性があることをお話しされ、産業保健の場でも月経に関する教育は重要であることを述べられた。女性ホルモンは、妊孕性だけではなく、血管骨などを守ってくれるホルモンであり、メタボリックシンドローム対策に性差の視点を含めることは大事であるとの指摘もあった。中高年から急激な女性ホルモン低下が、心身および業務に及ぼす影響もあり、メンタルヘルスにも女性特有な視点が必要であるとのお話しがあった。
妊娠に関しては、精子と卵子の受精、卵巣から卵管、そして子宮に移動するまでの、微細構造の写真をご提示され、生命の神秘、不思議さに感動を覚えた。
女性ホルモン補充療法に関し、米国のWomen’s Health InitiativeやNurse’s Health Study、英国のMillion Women’s Studyなどの報告が紹介され、そのベネフィット・リスクに関して知識を整理することができた。(文責:荒木葉子)

なお、その他の研究会活動としては、メーリングリストによる世話人会において28年度事業計画について討議した他、世話人会を開催し27年度事業・会計報告を行った。また、研究会webサイトによりし、研究会の開催や研究会での資料など、社会への情報発信を活発化させた。
日本産業衛生学会の代表として、大学医学部・医学会女性医師支援担当者連絡会および健やか親子21のテーマグループミーティングに出席した。(会議報告等提出済み)