就労女性健康研究会 代表世話人 野原理子

2011年 5 月19日、第84回日本産業衛生学会の自由集会として、ホテルアジュール竹橋にて、第13回就労女性健康研究会を開催した。本年の研究会では当初、専門職女性のワークライフバランスをテーマとしていたが、3 月に発生した東日本大震災を受けて急遽テーマを変更し、「家庭や女性に配慮した防災対策」について検討した。研究会ではまず世話人である原美佳子氏より、3 月 11 日のご自身の体験も含めた首都圏の帰宅困難者の実態についてのお話しと、その日の企業での対応についてお話しいただいた。実際に社内で備蓄していた非常持ち出しグッズなどもお持ちいただき、備蓄のなかった企業の担当者の方に非常に参考になった。引き続いて世話人野原理子より「防災イツモカード」の紹介があった。このイツモカードはいつも持ち歩き、緊急時に自身の家庭の状況を職場
にわかりやすく伝えるためのツールである。現状では、職場でも地域(学校等)でも家庭内に主婦がいることが前提となっていることが再認識され、職場でも地域でも、家庭を守りながら働いている人たちへの配慮が必要であることを示した。研究会には会場からあふれる 40 名以上の出席者を迎えた。これは災害に対する意識、家庭や女性への配慮の必要性の高さを示しており、研究会にて今後の災害発生に向けた、具体的で実践的な討議ができたことはとても有意義であった。なお、その他の研究会活動としては、22 年度事業・会計報告について3月1日に世話人会を開催、事業報告や研究会での情報を web サイト上に公開した。